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「それにしても同じ字で違う読みってのは珍しい事だよな。でも、コイツと一緒じゃ不幸だな」
「どういう意味だ?」
「わ、私はそんな事…思ってないですよ」
俺はキーシアを睨みつけ。近衛は慌てて否定をする。
それと同時に俺の後ろでドアが開き
「お~い。そろそろ席につけ~」
このクラスの担任になる教師でも来たのだろう。俺は適当な席に向かおうとしたがキーシアと近衛はどういう訳か動こうとしない。
というより、俺の後ろ。入ってきた教師の方を見て固まっている。周りを見ると他のクラスメートも全員固まっている。
「一体、どうし__」
流石に俺も気になったので後ろを向いてみると俺も固まってしまった。
入ってきたのは俺たちの想像の斜め上をいくような奴だった。
まず目に付いたのは白地に赤い縦線が幾つも入った顔全体を隠す仮面。次に着ている服は灰色一色の着物と袴、そして肩に羽織るように着ている短めのローブ。
最後に極めつけともいえるのは右肩に座っているテルテル坊主の様な人形。
よく言えば独創的、悪く言えば変人的で頭の痛い奴的な格好。
そして教室中を支配する沈黙。
クラスメート全員の視線は教師らしき人物の右肩に乗っている人形に向けられている。
あ、今人形が俺に向かって手を振った。
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