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「ぐぅっ・・・しまっ!」
一瞬、咆哮に怯んだ彼の目の前に斧槍の先端が迫っていた。
「ひっ・・・ひいぃ!」
残った一人は武器を投げ出し、悲鳴をあげながら森へ消えていった。
「・・・他にはいないみたいだね」
辺りを警戒しながらサーリャが言う。
「あとはここを見張っておこう。まだいるかもしれない」
「うん」
「・・・・・・」
ユキは無言で白い髪を煌めかせながら次々と元軍隊の山賊達を斬り捨てていく。
「こっこいつ!」
一人の山賊がクロスボウを構え、ユキに向けて矢を放った。
「ユキ!」
シグマがユキに警告を飛ばす。
ユキは横目で矢を見るとそれを剣を持っていない左手で掴み、ユキの注意が逸れたのを見計らって襲いかかってきた山賊の左膝に突き刺した。
「おい! 何なんだよ。あの化け物は!」
「こんなやつに勝てる訳がねぇ、逃げるぞ!」
山賊達は武器を捨てて逃げ出していく。
しばらくすると、略奪を繰り返していた元軍隊はあっさりと崩壊していた。
「おい」
「ひっ!」
シグマがドスの利いた声でユキに膝を刺されて立てずにいる一人に近寄っていく。
「奪った物をどこへやった?」
「う・・・裏の倉庫に・・・」
山賊は奥の扉を震える指で差した。
「カルト」
「了解」
カルトは扉に向かって歩いて行った。
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