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奪われていた金品や食料を荷車いっぱいに積み、シグマ達は村へ戻って来た。
「助かった、主らにはなんと礼を言えばよいか・・・・・・」
老人はシグマ達一人一人の手を握り締めてありがとうと繰り返す。
「俺達は傭兵だ。ちゃんと報酬さえ出して貰えれば礼なんていらねえよ」
「おおそうじゃった。これが報酬じゃ」
老人はシグマに金が入った皮袋を渡す。
「主は・・・生肉じゃったな」
老人は葉にくるまれた生肉達を風呂敷に包み、ユキに手渡した。
「ん、契約通りの量だな」
ユキは重さを確かめるようにそれを背負う。
拠点へ戻る途中、シグマはユキが背中に背負っているそれを見て言った。
「何で肉なんだ?」
「まあ、ちょっとな」
「・・・そういえば、忘れて無いよな?」
シグマが口の端を吊り上げて笑みを浮かべる。
「・・・ああ、その時に分かる」
こっちだ、とユキは進路を変え、シグマ達を連れて森へ入っていった。
「ここだ」
ユキは森の中にひっそりと開いた洞窟の前でそう言った。
「こんなところに一体誰が「ユキぃー!」」
シグマが不思議そうに呟くと、洞窟の中から女の子と思われる声が聞こえて来た。
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