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「ここか・・・」
一人の青年が、一軒の家の前に立つ。
雪のような白色の髪の青年は、華奢な体に一振りの細身の剣を腰に差している。
「すみませーん。依頼を受けたユキ・レインです」
ユキが扉を叩くと、扉を開けて中から一人の白髪の老人がのっそりと出てきた。
「ほう? 依頼をしたユキ・レインは男じゃと聞いていたがの」
「・・・俺は男です」
老人の言うとおり、細い腕に一枚の布のような服を腰の帯で止めた姿、声もアルト調でぱっと見ただけでは彼が男性だとは気付かないだろう。
「ふむ、まあ本人ならばよい、ついてくるのじゃ」
老人は、ユキを家の中へと招き入れた。
「この部屋に入ってくつろぐといい」
老人が戸を開くと、中には数人の男女が座布団に座り、背の低いテーブルを囲んで談笑していた。
「お嬢さん、この私に何かよ・・・あだだだだ!」
ユキの存在に気付いた一人の男が、瞬間移動でもしたかのようにユキの前に現れたが、それに気付いた女性に耳を掴まれ、座布団へ戻って行った。
女性は、男を元居た所へ投げ込むと、ユキの方へ歩み寄る。
「ごめんなさいね。カルトはあなたみたいな女性を見るとああなっちゃうのよ」
女性が軽く頭を下げて謝る。
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