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「俺は男なんですが・・・」
「何っ!?」
ユキの発言を聞いて、大人しくしていたカルトが勢いよく立ち上がる。
「あら、そうだったの? ごめんなさい」
女性は少し驚いて、謝る。
「それよりあなた方は誰なんですか?」
「俺達はシグマ傭兵団だ。今日はあの村長の依頼の打ち合わせに来た」
黙っていた男が口を開いた。
「んだよ、同業者か」
ユキは敬語を止め、嫌そうにため息を吐くと、空いていた座布団に座り、剣を横に置いた。
「お前も傭兵か」
「ユキ・レインだ」
「ユキ・・・・・・霙の剣士か。俺は団長のシグマ・ラグールだ」
男、シグマは立ち上がると、ユキよりも背が高く、ごつごつとした筋肉が、彼の強さを証明するかのようだった。
シグマは右手をユキの前に差し伸べる。
「私はミクラ・シャン、あっちは弟のカルト」
シグマと握手を交わしていると、先ほどの女性が穏やかな笑みを浮かべて言った。
「顔合わせは済んだようじゃの」
茶の入った湯飲みをお盆に乗せて、老人が部屋へ入って来た。
「で、じいさん。霙の剣士まで呼ぶ程の仕事ってのはなんだ?」
シグマがぶっきらぼうに言った。
「実はこの村の近くに山賊が住み着いてしまったのじゃ」
老人の言葉に、シグマは拍子抜けした表情になる。
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