R140BP

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可愛い手。 細い指。 丸い爪。 冷たい手。 そっと右手を出して さりげなく私の左手を握る。 あとは強引に指の間に滑り込んでくる。 繊細な君の手指。 時折ギュッと握ってくる。 私もギュッと握り返す。 『大好きだよ』のメッセージを込めて。 信号待ちで束の間の抱擁。 動き出しても離れない君が愛しい。 軽快なスピードで夜の国道を行く。 かからない信号に舌打ちを打ちながら、流れる街灯を見ながら(君しかいない。)と、そう思ったんだ。 陸橋にさしかかるまさにその時に。
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