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「今日はユイが好きなポタージュ作ったから早く着替えておいで」
「うん。」
私はパンパンの鞄を隠すようにして玄関横の部屋に入った。
「はぁー…」
無駄に緊張した。
母にバレたらどんな顔するだろうか。
考えただけでゾッとする。
私はベッドに投げた鞄を目に写した。
私はおもむろに鞄を逆さまにして鞄のものを取り出した。
服、つけまつげ、DVD、化粧品、アクセサリー、キャラグッズ…
こんなのお金はらったらいくらになるのだろう。
カーペットのうえに広がる本日の戦利品達は
部屋に置いてあるもの達の中で一番輝いて見えた。
もちろん、犯罪というリスクを背負い盗んだものだから。
そのくらい価値があり、そのくらいスリルがあり、そのくらい楽しい。
私はそれを大切にしまった。
リビングにむかうと焼き魚と昨晩の残りのおでんと、そこに不釣り合いなポタージュが存在感を放つ。
この母の作るポタージュが絶品なのだ。
私がいつもの椅子に座り、焼き魚に醤油をつけ食べはじめた。
隣には姉が携帯をいじりながらおでんに手をつけている。
「こらユナ!携帯いじりながらご飯食べないのっ」
母がキッチンから顔を出し姉を怒る。
私はそれを横目に見ながらおでんに手をつけた。
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