ラブ、マイブラザー!

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俺には双子の兄がいる。 とは言っても、双子だからあんまり兄とか意識したことはない。 けど今、俺は双子の兄――翔を別の意味で意識している。 そーゆー目で翔を見てしまう。 早い話、俺は翔を好きになってしまったのだ。 もちろん、ラブの方で。 けれど、翔には彼女がいる。 話によれば、同じ学年の女子らしい。 俺達は二卵性の双子だから、顔はあまり似ていない(兄弟と分かる程度では似ているが)。 翔の方が背だって高いし、大人びている。 弟の俺が言うのも何だが、顔も良い。 彼女が出来るのも納得が行く。 けれど俺は翔を愛してしまっているワケで。 その彼女に、いわゆる嫉妬と言うものをしている。 俺達は兄弟云々以前に男同士だし、仮に異性同士だったとしても、兄弟という壁が立ちはだかる。 どうしたって、結ばれないのは分かってる。 けれど、それでも俺は翔の事が好きなんだ。 「ねぇ、翔」 「何だよ隼?」 「…彼女、出来たんだって?」 「ん、まぁな」 「どんなとこが好き?」 「そうだなぁ…」 翔はそう言って少し考え込むと、やわらかく、はにかんだ様な笑みになる。 「優しくて、恥ずかしがり屋で、可愛くて…全部、かな?」 ズキン、と胸が痛くなった。 幸せそうな笑みを浮かべ、恋人の話をする翔。 弟として、喜ぶべきなんだ。 でも、出来ない。 だって、俺は翔が好きだから。 「そっか…」 「おう、つーか唐突だな?」 「ちょっと気になっただけだよ」 「じゃあ、このままのろけてやろうか?」 「冗談」 二人でクスクスと笑う。 翔はからかったつもりなんだろうけど、そんな事されたら、俺は確実に泣いてしまう。 俺の気持ちに気付く気配のまったく無い翔に、俺は小さく溜息を吐いた。 ラブ、マイブラザー! (この気持ちを知られてはいけない)
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