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ある日曜日。
今日はたまたま仕事が休みだった。
だから何処へ出かけるでもなく、二度寝を決め込んで1日中ゴロゴロするつもりだったのに。
なのに、目の前には何故かノミ蟲がいた。
「やっほーシズちゃん♪」
「……………」
思わず無言になってしまった。
臨也は不思議そうな顔して、ひらひらと俺の目の前で手の平を振っている。
「あっれー?おーい、まだ脳ミソ寝てんの?」
「………おい、何でテメェがいるんだ。鍵、閉めた筈だぞ?どうやって入った」
俺はフリーズした頭を何とか復活させ、それだけを絞りだした。
「どうやってって…合鍵で」
「渡した覚えはねぇぞ」
「当たり前でしょー?俺が作ったんだから」
あっけらかんとしたその態度はかなりムカついたが、今はそれよりも眠気が勝っていた。
「……もういい。俺は寝るからさっさと出てけ」
くあ、とあくびを1つしてから寝返りを打つ。
背後からノミ蟲が何やら文句を言ってるのが聞こえたが、聞かなかった事にした。
と、もぞもぞと何かが布団に入ってきた。
まぁ、考える迄もなくノミ蟲なんだが。
「……何してんだよ」
「ん?シズちゃんが構ってくれないから」
だから俺も一緒に寝る、と後ろから抱きついてくる。
見た目に反し高い体温が背中から伝わってきた。
「お前、体温高いよな。何度?」
「37℃」
「子どもかよお前。つかそれ微熱の域だろ」
「うるさいなー。そう言うシズちゃんは何度?」
「35℃」
「低すぎでしょ」
じんわりと伝わる高めの体温はとても心地よくて。
気付けば、俺は意識を手放していた。
37℃の恋人
(心も体も温めて)
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