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攻守の狩り手
「今回の対戦相手は、あれだ」
単書『コロセウム』の中。
闘技場とそこへと至る通路の境で腕を組み、壁に背を預けていた鬼腕は、戦場となる円形の広場の対面にある通路口、そこで待機する数人の影を顎先で示した。
「確か三人のチーム。ここの闘技場ではまだ駆け出しだが、しかし腕はそう悪くない──要は新進気鋭のパーティというところか。管理運営側が用意した者達ではない、こちらと同じく自薦による闘士という“設定”だな」
鬼腕が淡々と説明する間に、向こう側の影は通路から闘技場へと上がってくる。
先頭には戦士風の男。その後ろに弓を携えた軽装の者が続く。
「スタイルは後の先だ。盾役が攻撃を受けて、そこから強力なカウンターで隙を作り、それを基点とした後衛からの連続攻撃。これがあいつらの得意の戦法だったな」
闘技場から、自分の名を呼ぶ声がする。
そろそろ始まりか。エリシアが階段に足を掛けて、そのまま陰から陽。薄暗い通路から日の当たる闘技場へと上がる。
「やり方は問わぬ。とにかく前の守りを崩せ。これが、自分からの助言だ」
後ろからの声に手を振るだけで答え、そしてエリシアは手にした武器を引き抜きながら中央──こちらに鋭い視線を向けてくる戦士達の方へと歩き出した。
***
護り攻める者が現れた!
[敵出現]
─See you Next phase─
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