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「槍の特徴は、やはりその長さを活かした攻撃と、そして突きか。構造故、空中に浮いた相手を突き刺しやすい。難点はリーチや強度を稼ぐ上でどうしても巨大で、そして重くなってしまう点だな。大抵は両手でなければ扱えず、その重量と長さのために扱いも難しい。槌程ではないが威力は不安定になるか」
流れるような仕草で棚から槍を引き抜いた鬼腕は、未だ空中にあった鉄板に槍を投げつけた。槍は鉄板を容易く貫き、そのまま天井に深々と突き刺さった。
鬼腕はそれを見届け軽く肩を竦めると、棚から新しい武器を取り出す。
奇妙な形に湾曲した木と弦、そして筒だ。鬼腕は弦を木の両端にあっというまに通すと、
「弓は遠距離用の武器だな。無論近距離でも使えることは使えるが。比較的軽く、矢に色々と仕掛けを仕込むことが可能だが、攻撃方法が矢によって貫く事にほぼ限定されてしまうのが難点だな。攻撃方法が絞られている武器は、その攻撃が全く通じない相手が現れた場合どうしようもなくなる。念のために他の武器も扱えるように訓練しておいたほうがいいだろう」
矢を番えぬまま、軽く胸元へと弦を曳き、離す。びんと弦が震える音が鳴った。
「こんなところか。では、そろそろ始めようと思うが。エリシア、準備は良いか?」
……始める?
一体何をと眉根を寄せたエリシアに、鬼腕の口蓋の脇からふしゅうと息が噴き出される。溜息か。
「まず、先に手合わせするといったろう? 何、手加減はする。お前が『コロセウム』での戦いを修練の一つとして受け入れられるかどうか。それを見るための軽い試験だ。──ついでに、先程の話を実体験として得るのも良いか」
鬼腕は棚から武器を幾つか取り出すと自分の傍に投げ捨て、そして先刻弦を張った弓を構える。
「弓、槍、剣、槌、手甲。この順で仕掛けるぞ。……そうだな。槌を持つ前には自分を認めさせなければまずい事になるかもしれんな」
洒落で済みそうのない口調でそんな事を言われても非常に困るのだが。
そう突っ込む間もなく、鬼腕が動く。手には三本の矢。流れるような動きで弦に矢が添えられ、引き絞られていく!
***
無双の鬼腕が現れた!
[敵出現]
─See you Next phase─
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