序章~小笠峠~

10/20
前へ
/53ページ
次へ
「走りたいからねぇ…」 智也はどこか期待外れのような声で言った。 「別にいいよな!? 最近は俺もあまり走ってなかったし… とにかく速い奴と走りたいんだよ!!」 市橋が力説する。 「自分の速さの限界を超える……………(以下省略) その二人の様子を美咲たちは遠くから見ていた。 「市橋は相変わらずだよね」 奈美が言う。 ここにいる5人は同じ高校の同期生だ。 「ミサも勁吾と走れば?」 「えっ!?   あ、あぁ、うん」 不意を突かれた美咲が驚く。 「それじゃ美咲、行こっか」 勁吾は車に向かって歩き出す。 「ナミエルは?」 「私は遠慮しておく。 せっかく二人きりなんだから。ねッ」 そう言いながら微笑む奈美の顔を見ながら美咲は車に乗った。 向こうでは市橋が相変わらず力説していた。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加