11人が本棚に入れています
本棚に追加
勁吾と美咲が頂上のパーキングに着いた頃には先程のFD2台はいなかった。
多分言い合いになり、今度はダウンヒルで勝負しているのだろう。
勁吾はその光景を想像したが、その想像に苦笑した。
「本当は勁吾もあの二人くらい速いんだよね」
美咲が勁吾に寄り添いながら言う。
「私ももっと速くなりたいな…
いつか勁吾の本気の走りについていけるくらい速く…」
「大丈夫、美咲ならきっともっと速くなれるよ
俺よりもずっと速く…」
美咲の顔が少し赤くなった。
だが、勁吾には暗くて見えなかった。
「美咲…」
「勁吾…」
薄暗い夜のパーキングには二人を邪魔するものはなかった。
最初のコメントを投稿しよう!