序章~小笠峠~

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勁吾と美咲が頂上のパーキングに着いた頃には先程のFD2台はいなかった。 多分言い合いになり、今度はダウンヒルで勝負しているのだろう。 勁吾はその光景を想像したが、その想像に苦笑した。 「本当は勁吾もあの二人くらい速いんだよね」 美咲が勁吾に寄り添いながら言う。 「私ももっと速くなりたいな… いつか勁吾の本気の走りについていけるくらい速く…」 「大丈夫、美咲ならきっともっと速くなれるよ 俺よりもずっと速く…」 美咲の顔が少し赤くなった。 だが、勁吾には暗くて見えなかった。 「美咲…」 「勁吾…」 薄暗い夜のパーキングには二人を邪魔するものはなかった。
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