序章~小笠峠~

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一人で麓のパーキングにいた奈美は退屈していた。 (やっぱりいっしょに走ればよかったかなぁ…… いやいや、それだと二人きりの時間を邪魔することになるし… 私も早く彼氏欲しいなぁ…) あれこれと思考していると、聞き慣れた排気音が聞こえてきた。 ロータリーの音、あの二人だ。 「ど~だ市橋、思い知ったか!! これが実力差だ!!」 「ふん、たまたまだろ。 た・ま・た・ま!!」 「うぬぬぅ~ 言わせておけば~…」 「はいストップ」 奈美が二人の間に入る。 「で、結局どっちが勝ったの?」 市橋が悔しそうに呟く。 「どーせ負けましたよ…」 「しっかし市橋も速くなったなぁ~」 智也が慰めとも取れる言葉をかける。 市橋が顔を上げ、早速二人で今回の反省に取り掛かった。 (何なんだか、この二人は…) 奈美は半ば呆れながら二人を見ていた。 たしかに二人のバトルは良いバトルだった。
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