序章~小笠峠~

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(そろそろ嵌まってくれたかな?) 一方の智也は余裕があった。 (たしかに市橋は速い。 だけど俺みたいな策士にはオイシイ走り方してくれるんだよな…) 智也の走り方は他の走り屋からが見ると「何が何だかわからない」らしい。 走る度にライン取りが変わり相手にプレッシャーを与えているのだが、それは走っている者にしかわからない世界だ。 故に、智也と走った走り屋は変わるライン取りによってコースを塞がれ、平常心が保てなくなり、最終的に自滅してしまう事が多い。 市橋は素直に走る走り屋だ。 だが、素直故にあまりにも策に弱すぎるのだ。 もちろん、市橋とて警戒はしていた。 警戒はしていたが警戒の度合いが甘かったのだ。
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