序章~小笠峠~

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ドライバーが車から降りる。 意外にも女が運転していたのだ。 見た感じ20代前半と言ったところだろう。 パーキングにいたもう一人の女が近づき、話しかけてくる。 こちらも20代前半だろう。 「ミサさぁ~、ちょっと擦り過ぎなんじゃない? いくらなんでも車がかわいそうだよ~」 「そう?私はギリギリのつもりで走ってるけど…」 ミサと呼ばれた女はそう言いながらもテールの方を見る。 案の定、リアバンパーに白い線が多く見られた。 「あちゃー…、またか…」 「ミサは運転荒いからだよ~。 私みたいに慎重に走ればいいんだよ」 「ナミエルは慎重過ぎていつも負けてるよね~」 「うッ……………」 ナミエルと呼ばれた女は言い返せずに黙ってしまった。
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