今度は何なんだっ!?

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30分くらい待っただろうか.... 診察室のドアが開き中から真女院が顔を出した。 「裕太さん、ちょっと来て。」 俺? 「私は?」 親父さんが自分を指差した。 「あなたはそこで待ってらっしゃい。」 ‥‥ 勝った。 診察室に入るとレイが神妙な顔で俺を見た。 「裕太くん....」 え? 何があった? ダメだったのか? それとも妊娠自体が間違いだったのか.... 「レイ....」 何て言ったらいいんだよ.... 「神坂さん、こちらにどうぞ。」 女医が椅子を出しながら俺に声をかけた。 「はい....」 ダメだ....頭の中がグルグルしてる。 「神坂さん....心して聞いてください。」 死刑の宣告だよ.... 脳裏に地獄の閻魔大王が浮かんだ。 「予定日が早くなりました。」 予定日が.... ん? 「予定日がって....ダメだったんじゃ....」 「裕太くん、私もそう思ったんだけど....」 「順調に育ってます....いえ、順調と言えるのかどうか分かりませんが。」 パッと見がキャシーに似た感じの女医はかなり複雑な表情を見せた。 「あの....先生?」 俺が声をかけると、女医は思い切ったように口を開いた。 「通常の....約3倍の速さで育ってます。このペースですと来月中の出産が予測されます。」 ‥‥ 「はいっ!?」 いや待ておいちょっとそれは何でや嘘だろ.... 「な、何故っ!?」 わけわかんね。 「分かりません。私も下界では20年近く産科医をやってました....予定日より2ヵ月くらい早いケースは何度かありましたがそれはあくまでも早産です。つまり未熟児が産まれるんですが....奥様のお腹の中では元気に....元気過ぎるくらいなんですが、全てがしっかりと育ってます。」 .... 「裕太くん....来月なんて....まだ何も用意してないのに....ベビーベッドも買わなきゃ....」 そこかっ!? 「先生、母体に何か影響は?」 そっちが優先だろっ!  
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