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それから1週間が過ぎたが、特に大きな事件は起きなかった。
不思議だ....
もしも高家が覚醒したのなら、俺が入院中などというのはお見通しのはず....
ここへ襲撃をかける事だって出来たはずだ。
天国の住民たちはこの1週間でかなりの数が避難を終えた。
黄泉の扉....
そこを襲われる事もなかった。
何のアクションもないというのがかえって不気味なくらいだ。
まあ....おかげで顔中に巻かれていた包帯も取れて、点滴ではなく流動食みたいな物を食べるまでに回復できたが。
「まだ....うまぐ....しゃべれね....」
左の頬骨が粉砕したらしいが、なぜか再生した....俺って何なんだ?
「やっぱり司令官は普通じゃないっすね。」
大河が呆れた目で俺を見た。
「ふつう....だ....ろ....」
やっぱり上手く話せない....
「いや、俺も格闘技やってたからわかるっすけど、完全に砕けた骨が元通り再生したなんて聞いた事ないっすよ。有り得ないっす。」
うん....確かに変かも....
「そういう規格外な所があるから....司令官の底が見えなくて面白いのよ。」
純も無責任な発言を....
全く....
人を化け物みたいに言いやがって....
「ところで司令官、明日には一般住民全ての避難が終了します。」
そっか....
レイは昨日まだ力のない天使たちと一緒に八戸さんの部隊に守られて避難した。
「念の為に全戦力の3割程度を扉の向こうに送りましたが....」
俺も黄泉の扉の向こう側なんて想像もつかない。
とにかくみんなが安全ならそれでいい。
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