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その後。
勘違いの同情からもなんとか逃げて、俺は帰路についた。
冬の冷たい空気が頬を掠めていく。
ふわふわと白い息。
こんな寒い日だった。
あんな顔をする美希を見たのは初めてだった。
正直、どうしていいのかわからなくて・・・。
俺は、曖昧な言葉で濁して…、
結果、逃げたんだ。
今更、どうしようもないことだ。
あれから何年と過ぎて、俺達はそれぞれの時間を過ごしてきた。
毎日会っていた、あの頃とは違う。
互いに、互いの知らない時間があって。
それは確実に、あの日の記憶や、その瞬間の想いを…薄れさせてきた。
今更、蒸し返したところで…。
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