旅立ちは晴天ナリ

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~王都ラヴァレ・メインストレート~ ここは万年雪で覆われた北国モーヴェイン、その王都ラヴァレ 今は昼、空は快晴、都のメインストレートは賑わい、活気に満ちている そんな中、 「ど、どいて下さ~い」 雪の積もった煉瓦の舗装道路に、人混みを縫うように駆けていく女性が一人 白を基調とし所々に青いラインの縁取りがなされた騎士甲冑に、端にフリルが適度にあしらわれた青のスカート 背には布が巻かれた1m級の剣とおぼしき得物を背負い、慌ただしく走っていく 「ち、遅刻遅刻~」 我々の世界でもありそうな光景だが、大きく違う点が一つ それは彼女が我々と同じヒトではないこと もっと言えば、この世界の住人のほぼ全てが獣人と呼ばれる別の生物であることだ 獣人とは獣が永い時の中で進化した生物 元は獣なので毛皮もあれば尻尾もある だが、二足歩行をし言葉を話し、道具を創り使うことが出来る 他にも獣人特有の特徴がいくつかある 只今疾走中の彼女、『アーチェリア』を例にとると、 彼女は雪兎族と呼ばれる兎系統の種族で、顔立ちヒトっぽいが骨格や歯は兎がベースとなっている 肩程まである氷のような淡い水色の髪に、長く垂れた耳は側頭部から伸びている体格はヒトと同じ様な骨格と肉付きで灰色の毛並みで全身覆われている そんな獣人が生きるのが、この世界『リア・ファル』という訳だ さて、話を戻すと 彼女が目指すはこの国唯一の城、スターチス城 そして、目的地はもう目前だ まぁ、 ドッ、ガシャーン! 「コラーッ、弁償しやがれーッ!!」 「あわわっ!?、ごごご、ごめんなさいっ!!」 ドッ、…ガッシャーン! 「いやぁぁあああ、ウチの骨董品があぁぁぁあ!!?」 「ひゃっ、あ~~~ぁ、す、すみませーぇんッ!」アワアワ まだまだたどり着けそうにはないが…
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