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違う。俺じゃない! 俺は殺ってないんだ。信じてくれ! 俺が訪ねた時には、もう死んでたんだ。本当だ!
だが、ダメだ。信じちゃ貰えないだろう。ドアノブには俺の指紋がべったりな筈だ。
それに、玄関に落ちてた札束を俺は思わずポケットにねじ込んじまった。魔が差したんだ。200万だ。立派な犯罪者だ。
マンションの廊下で顔を見られた。おしゃべりそうなオバサンだ。ここまで悪い条件が揃っちゃ、おそらく釈明は聞いて貰えない。どう考えても不利だ。
くそう。こうなったら逃げ通すしかない。遠くへ。出来るだけ遠くへ逃げるしかないだろう。何処へ? 北海道か? 九州か? 四国か?ああ、頭が回らない。
なんだ? パトカーか! もう手が回ったのか? さっきのあのオバサンが通報したのか? それは、そうだろう。
どうしたらいい? このまま走っていても埒があかない。ああ息切れして来た。苦しい。
まずタクシーだ。タクシーを拾おう。いや、待て。あの手合いは確か警察無線が入るんだ。無線で連携してやがるんだ。ダメだ。危険だ。捕まえて下さいと自分から飛び込むようなもんだ。
参った。地下鉄の駅はどっちだったっけ?
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