王子様は王様を嫌う

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海斗が話してくれた内容はこうだ。 王子は王様と王女との間に産まれた唯一の子供で、実は腹違いの弟や妹がたくさんいるらしい。 正当な後継者はもちろん王子なので、そのための教育や期待を一心に受け育って来た。 しかし、腹違いとはいえ弟達は王様の子だ。 唯一の正当な後継者である王子がもし死ねば、その地位や多額の資産は弟達の内の一人に与えられる。 そして…軽く10人は超えるであろう弟達の誰かが、王子の命を狙っているのだ。 もちろん自らは手を汚さず、プロを雇って。 「そんな事って……地位やお金のために…半分は血が繋がった兄弟を殺すなんて…」 「遊里…」 聞き終えた頃には視界が歪んでいた。 …どうしてそんな恐ろしい事ができるの。 人を殺すとか、殺されるとか…ましてや兄弟でそれを実行に移すなんて! 「王子は…王子はどんな気持ちで日本に来たのかな。それを考えたら…」 「そんなものなんだよ、所詮世の中なんて。」 「!?」 急に背後から会話を遮られ肩が跳ねる。 この声は…。 振り向いてみると、声の主はやはり王子だった。
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