王子様はふんぞり返る

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ギュッと反射的に目を閉じてしまった。 しかし。 私の手が軽く持ち上げられたかと思うと、そこに柔らかな感触が触れる。 「…え?」 そっと目を開けてギョッとした。 手…手に! 手の甲にキスされてる!! あわあわと口を動かし声にならない声を上げていたら、彼の伏せられた瞳が上目遣いに私を見つめる。 う…わ…! まるで赤い瞳に捕らえられたように体が動かない。 早く離して欲しい。 じゃないと海斗が…。 そう思うのに…。 私が固まったままでいると。 パシッ! 突然乾いた音が響き、彼の手が弾かれた。 「…いつまで触っている。挨拶にしては長すぎるな。」 明らかに怒りを含んだ声が隣りから聞こえてくる。 「か…海斗…」 「…失礼。あまりに美しい女性だったのでね。…私の手を弾くなど、お前こそ礼儀がないんじゃないか?」 そう言い、外人さんが海斗を見下し笑った。 しかしその瞳は笑っていない。 「…礼儀だと?笑わせるな。貴様に礼儀をつくす必要がどこにある?」 「ちょっ…海斗っ…」 海斗まで見下すように言葉を返すから、私の心臓が一気に止まりそうになった。
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