6180人が本棚に入れています
本棚に追加
ギュッと反射的に目を閉じてしまった。
しかし。
私の手が軽く持ち上げられたかと思うと、そこに柔らかな感触が触れる。
「…え?」
そっと目を開けてギョッとした。
手…手に!
手の甲にキスされてる!!
あわあわと口を動かし声にならない声を上げていたら、彼の伏せられた瞳が上目遣いに私を見つめる。
う…わ…!
まるで赤い瞳に捕らえられたように体が動かない。
早く離して欲しい。
じゃないと海斗が…。
そう思うのに…。
私が固まったままでいると。
パシッ!
突然乾いた音が響き、彼の手が弾かれた。
「…いつまで触っている。挨拶にしては長すぎるな。」
明らかに怒りを含んだ声が隣りから聞こえてくる。
「か…海斗…」
「…失礼。あまりに美しい女性だったのでね。…私の手を弾くなど、お前こそ礼儀がないんじゃないか?」
そう言い、外人さんが海斗を見下し笑った。
しかしその瞳は笑っていない。
「…礼儀だと?笑わせるな。貴様に礼儀をつくす必要がどこにある?」
「ちょっ…海斗っ…」
海斗まで見下すように言葉を返すから、私の心臓が一気に止まりそうになった。
最初のコメントを投稿しよう!