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「おい、お前。」
夕食の時間、先程帰って来たばかりの王子が偉そうに口を開く。
お…お前…?
誰の事を言っているのかと王子の視線を追い、血の気が引いた。
か…海斗…?
「貴様にお前と呼ばれる筋合いはない。」
さらりと言って返す海斗に、王子が顔をしかめる。
「…お前はお金持ちらしいが、いったいどれだけ持っているんだ?」
「答える筋合いもないな。」
相手にすらしない海斗の態度にハラハラとするしかない。
それは遊真や里海も同じらしく、キョロキョロと海斗と王子を交互に見ていた。
唯一斗真だけが楽しそうに目を輝かせている。
…ほ、本当に嫌いなのね斗真…。
「ふん、言えないくらい微々たる金や会社だと言う事か。私が持っている大金に比べたら恥ずかしくて言えるわけもないな。」
馬鹿にした王子の言い方に、何故か私が泣きたくなった。
そんな言い方したらっ…!
「お前が持っている大金…?はっ。どうせ親から引き継いだ金だろう。私を馬鹿にしたいなら自分で稼げるようになってから言うんだな。情けない。」
や、やっぱり!!
海斗は凄まじい努力で会社をここまでにしてきたので、自分の会社や社員に誇りを持っている。
王子は言ってはいけない事を言ったのだ。
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