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「なっ…!!??」
フォークを握る王子の手が震え出す。
明らかに怒っているのだと分かるその顔に私はあわあわと口を動かすしかなかった。
「情けないだと!?確かに金は親のものだが…私はそれに見合うだけの働きをしている!」
「ほう、例えば?」
何故か勝ち誇った顔で王子に問う海斗。
「た…例えば…今日のように外交で食事をしたり、演説や、普段の生活でも王子の名に恥じないよう振る舞ったり…」
「それは報酬に見合った働きなのか?…資料を読むと、お前は月に1億は金を貰っているらしいな。外交だの演説だの…それは1億も貰える程の働きだとは思えない。」
海斗の言葉に唖然とした。
1億…?
まだちゃんとした政治的な活動もしていない王子が1億も月に貰ってるの?
軽く目眩すら覚えそうだ。
「っ…そうか!お前うらやましいんだな?自分は大した金も貰ってないから、うらやましいんだろう?」
興奮した様子で言い捨てる王子に、海斗が頭を抱えため息をつく。
それがまた癇に触ったのか、王子が立ち上がって海斗を指差した。
「見ていると良い!明日からお前と俺の身分の差をみっちり教えてやるからな!」
「ガキ…仕方ないから付き合ってやろう。」
「な!?」
バチバチと火花散る二人の視線に、私は明日からの受難を考え泣きたくなった。
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