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その翌日から、長い長い二人の張り合いが始まった。
やれメイドは何人いるだのやれ屋敷の広さだの、事あるごとに自身の自慢をひけらかす王子に、海斗は毎回呆れたように口を返す。
そして口喧嘩が始まり、私や大平さんが止めに入る…というのがまるで日課のようになっていた。
それがもう一週間も続いているともなれば、私や大平さんもぐったりするのは当たり前で…。
「はぁ…もう嫌…」
ため息をつきテーブルに突っ伏すと、横に立つ大平さんも苦笑を返してくれる。
「大平さんも毎日毎日疲れるでしょう?あんなワガママ王子の世話をしてその上喧嘩の仲裁まで。」
隣りの椅子を引き、そこに座るよう大平さんに微笑みかけた。
大平さんはすぐに気づいてくれて、「失礼します」と笑顔で腰を下ろす。
そして、不思議そうな顔をしながら口を開いた。
「いえ…、お部屋では王子はワガママなど一切言いません。」
「え?」
「むしろあまりお話しになりませんし、表情もずーっと同じというか…まるで感情がないようで。」
思わずきょとんとする。
感情がない?
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