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「…半分は血の繋がった兄弟。…だけどそれは、父親である王の不貞の証でもある。皮肉なものだな。…自分達で選んだわけじゃない。私や弟達も、産まれてきたら…たまたま父親が王だったというだけなのに。」
また能面のような顔で、王子が私と海斗の前の椅子に腰かける。
しかしその声が僅かに震えていた。
「…誰に聞いたんだ?日本では誰にも話していないのに。」
「外務省の友人にだ。…外務省の連中はみんな知っている。昨日その事実を知った相楽さんが慌てて俺に話すよう指示したらしい。」
さらりと答え海斗が王子を睨みつける。
「俺達を騙したな。」
「……騙したわけじゃない。」
「もしそいつらが日本にまで来ていたら…お前がいるこの屋敷の全員が危険に晒される事になるんだ。それなのに事実を隠し平然と生活していたお前の神経を疑う。」
「海斗!ちょっと言い過ぎだよ…」
確かに嘘をついていたのだからひどい。
でも、日本に来た理由を考えると可哀想な気がしてきた。
「言い過ぎ?では考えてみろ。…こいつに向けて放たれた銃弾がもし遊真や斗真、里海に当たったらどうする?お前はそれでもこいつを庇えるのか。」
「っ…」
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