6180人が本棚に入れています
本棚に追加
海斗が言った事を想像した途端に頭の血が一気に引いていく。
子供達が…撃たれたら…?
「それ、は…。」
それ以上言葉が出てこなかった。
そんな私を黙って見ていた王子が不意に笑う。
「…そうだな。私は出て行った方が良いらしい。」
「……」
どこか悲しみを帯びたその声を聞いてもなお、何も言う事が出来ない。
王子が立ち上がりリビングから出ていく間。
その背中を見る事も出来なかった。
「これで…良かったのかな。」
静まり返った寝室でポツリと呟く。
私に背を向け窓辺に立つ海斗が絞り出すように言った。
「…俺は…俺には責任がある。大事なものを一生守りぬく責任が。」
「海斗…?」
心なしか海斗の背中が寂しげに見える。
海斗も…辛いのかな。
喧嘩しながらも、なんだかんだ言って実はちょっと気に入ってたのかもしれない。
…いや、海斗は嫌いな人間をこんなに長く家に住まわせたりしない。
寂しいんだ。
だけど海斗には家族がいる。
家族同然の使用人もたくさんいる。
それを守るために…海斗はわざと王子にきつく言ったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!