王子様は王様を嫌う

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海斗が言った事を想像した途端に頭の血が一気に引いていく。 子供達が…撃たれたら…? 「それ、は…。」 それ以上言葉が出てこなかった。 そんな私を黙って見ていた王子が不意に笑う。 「…そうだな。私は出て行った方が良いらしい。」 「……」 どこか悲しみを帯びたその声を聞いてもなお、何も言う事が出来ない。 王子が立ち上がりリビングから出ていく間。 その背中を見る事も出来なかった。 「これで…良かったのかな。」 静まり返った寝室でポツリと呟く。 私に背を向け窓辺に立つ海斗が絞り出すように言った。 「…俺は…俺には責任がある。大事なものを一生守りぬく責任が。」 「海斗…?」 心なしか海斗の背中が寂しげに見える。 海斗も…辛いのかな。 喧嘩しながらも、なんだかんだ言って実はちょっと気に入ってたのかもしれない。 …いや、海斗は嫌いな人間をこんなに長く家に住まわせたりしない。 寂しいんだ。 だけど海斗には家族がいる。 家族同然の使用人もたくさんいる。 それを守るために…海斗はわざと王子にきつく言ったんだ。
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