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「か、海斗っ…」
どうしたら良いかが分からず海斗の名を呼ぶ。
その海斗の視線は斗真にだけ向けられていた。
「…」
「とーま…あんな風に言った私を庇ってくれるのか?……ありがとう。」
悲しそうな王子の声が震える。
「しかし…」
キッ。
だけどそれは一瞬だけで、すぐに能面のような顔に戻ってしまった。
「しかし、命を狙われているのに一般家庭に来た私が間違っていたのだ。…一般人を犠牲にするわけにはいかない。分かっていたのに…」
「やめろ気持ちが悪い。」
淡々と話す王子の言葉を、冷たい声が遮る。
き…気持ち悪いって…。
顔を引きつらせつつ声の主の顔を見ると、最上級に不機嫌そうな顔をしていた。
「なんなんだその顔は。まるでお面じゃないか。…お前は一応人間なんだろう。わざとそんな顔をしたところで気持ちが悪い以外のなにものでもない。」
ズバッ!!
という効果音が聞こえた気がしたのは私だけじゃないはず。
海斗!
ずっと言いたかったけど言えなかった事を…そんなにハッキリと…。
確かに、能面のような時の王子は美しい。
精悍でいて妖艶、心を奪い尽くしてしまいそうな程だ。
だけど…だけど私には…、海斗にケンカをふっかけたり意地悪い顔をしてる時の王子の方が魅力的に見える。
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