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「結城さん…勝手で不躾なお願いだとは思います。しかし、今は結城さんのご協力が必要なんです。…もしニュー・カルフィードの王の機嫌を損ねれば原油の輸出を抑えられてしまう可能性もある。そうすれば原油は高騰…国民に負担がかかる事態に陥ってしまうのです。」
相楽さんが苦しそうに言葉を吐き出す。
…親交が深いなんて上っ面だけ。
実際はニュー・カルフィードの機嫌を損ねないよう日本があれやこれやと気を回し原油の輸入をお願いしている立場なのだ。
政治に詳しくない私でも、切羽詰まった相楽さんの焦りが手に取るように分かる。
…海斗…。
なんだか可哀想な気すらして、そっと海斗の顔色を窺った。
その顔は不機嫌なままで、何を考えているか読み取る事さえ出来ない。
きっとダメっていうんだろうな…。
当たり前だよね。
第一声があれで、ましてや礼儀も知らない人を屋敷に上げるはずがない。
「…私は、相手が王子だからと言って気を使う事も媚び諂う事も出来ません。」
ほら…やっぱり…。
相楽さんが話し出した海斗の言葉に少しだけ肩を落とした。
しかし。
「それでも宜しいのでしたら、引き受けましょう。」
「そうだよね…やっぱり無理……………って、ええぇ!?」
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