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「反抗期だなんて…私はそんな…」
「気付いていないのか?呆れたな。」
鼻で笑い、海斗が斗真を見据えた。
途端に斗真の背筋が何故か真っ直ぐになる。
「……やれやれ。反抗期の子供を二人も同時に抱える羽目になるとはな…。遊真。」
「え?は、はい。」
このタイミングで名前を呼ばれるとは思っていなかったのか、遊真が裏返った声で返事をした。
遊真を見て海斗がふっと笑う。
「お前は反抗期になるなよ。…この厄介な子供が国に帰るまではな。」
「………え?」
そ、それって…。
思わず海斗の服を掴んでしまった。
私に視線を移して海斗が苦笑する。
「…もう少し、二人の反抗期に付き合ってやってくれ。」
「海斗……」
不意をつかれ過ぎて、一気に目に涙が浮かんだ。
「わ、私はまだここに居ても良いのか…?」
王子も信じられない様子でオロオロしている。
「言っておくが、【王子】を泊めるつもりはない。ここにいる限りお前は生意気なただのガキとして扱うからな。」
「っ…」
一瞬、歪んだ王子の顔を見た時、やっと彼が年相応に見えた。
「…わ、私を誰だと思っているんだっ…」
力なく吐き出された強がりが、小さく震えていた。
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