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あまりの驚きに、かなり大きな声で叫んでしまい慌てて口を塞いだ。
海斗も訝しげに私を一瞥する。
相楽さんも驚きは同じだったらしく、目をまん丸にして固まっていた。
「ほ…本当にお引き受け頂けるんですか?」
「ええ。国にはなんの愛着もありませんが、国民の話しを出されてしまうと…苦しんで欲しくない人達がたくさん居るので。」
「海斗…」
海斗が少しだけ微笑んで言うので、じわりと涙が出てきてしまった。
苦しんで欲しくない人…。
海斗は意外と友人が多い。
きっとその人達の事を想っているのだろう。
情に厚い海斗が好きだと一人心の中で呟いた。
「ただ、一つ確認です。あいつは命を狙われていたりはしませんよね?まぁだとしたら私のような一般人に任せたりはしないと思いますが…。」
そ、そうだ!
第一王子だと言うなら命を狙われていたっておかしくない。
相楽さんは「ははっ」と笑い穏やかに答えた。
「結城さんのおっしゃる通り、命を狙われているような人をお任せしたりはしません。もちろん万一に備え警備は配置しますがね。」
「…そうですか。」
海斗も小さく微笑み、相楽さんが差し出した手を握り握手を交わす。
そうして、我が家に王子様がやってくる事となった。
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