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「…………………怖っ!」
奇怪千万。
奇奇怪怪。
それは一瞬言葉を失うくらいに、比類無きほどに、異様なものだった。
忍矢航人(オシダリコウト)は自身の背筋が急激に粟立つ、嫌な感覚を知った。
何だかまるで、唐突に肺の中が空洞になってしまったかのような。
まるで自分の頭の中を開けられて、何かに覗かれているような。
そんな不思議な、不可解な、不気味な感覚。
これが恐怖か。
白い服に黒の絵の具が染みた時のように、体の細部にまで重いものが染み渡ってくる。
恐ろしい速さで、恐ろしい圧迫感を持って迫る、抗う術の見当たらない感情だ。
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