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女が糸を指で弾くと…他の糸に連動しながら男達の手前の糸は激しく振動した…
『やめろ…やめてくれ…』
ビィィーン…
振動はその糸を激しく弧を描き…揺らし…男達にあと数センチに迫っていた…
『一度だけ聞く……お前らが最近売りさばく…薬は…何処からの入手だ…それと…バイヤーの名前と所属を言え…』
女はコートを脱ぎノースリになると…両腕に無数の傷があった…
『に…入手先…は……凶楽寺……バ…バイヤー…は……金田……じゃ…邪心会……金田…!』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
ギャァァ・・・ン・・・
女の目が鋭く男達を睨んだ……
『邪心会……性懲りもなく…また復活しやがったか……』
『言った…言ったぞ…助けてくれ!』
男達は哀願した…女は睨んだ…
『誰が助けると言った…アタシは一度だけ聞くと言っただけだ…』
『そん…な……』
糸の揺れは激しさを増し…あと数ミリの位置で辛うじて触れないでいた…
『メイ・ファーが…バビュロンが命を掛けて守った平和……アタシはその時まだ7才の子供だった…メイ・ファーの勇気…思想…その全てが憧れ…幼いアタシに尊敬させた…唯一の存在…』
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