記念日

3/6

26人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
朋也 「でも祝うにも、何もない。」 智代 「私の手料理があるじゃ ないか。」 テーブルに並べられた皿を手で なぞる。 朋也 「いつもある」 智代 「うん、いつもあるな。 でも、夕飯は週末だけだ。」 日曜から木曜の平日は、智代は 実家で家族と食べている。 こうして食卓を挟めるのは週末 だけだった。 智代 「それでは不満か?」 朋也 「いや…、贅沢すぎるよ。」 朝には、お弁当も渡してくれる。 智代 「だろう?ここまで尽くす彼女は そうそういないぞ?誇りに思え。 しかもまだ学生だ。学業と平行 させてだ。 それでも成績は落とさない。 これはなかなかできる事じゃ ないぞ? 自分で言っておいてなんだがな」 それは俺もすごいと思っていた。 そしてそれは智代の意地だと 思った。 もう二度と過ちを繰り返さない。 自制心を持って。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加