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「んン…ぅ‥あれ、土方さん?」
翌朝、総悟が目を覚ますと隣で眠っていたはずの土方が見当たらない。早朝に起き出張へと出かけたからだ。
「なんでィ、馬鹿土方。一言声を掛けてくれてもよかったのに」
寂しそうに呟く己にハッとし総悟は、ブンブンと首を振った。頭のなかの雑念を振り飛ばすように…‥。
一一寂しいからって泣くなよ
頭のなかに土方の言葉が流れた。
「べ、別に寂しくないしッ!!!さてと、着替えるか」
独り言を呟くと立ち上がりタンスの中からスカーフと隊服を取り出す。
いつも早く着替えろと言う土方が居ないため総悟はいつもよりゆっくり着替えていく。
「さてと、いくか…」
着替え終えた総悟は欠伸を噛み殺しながら部屋を出た。廊下は朝から隊士達が慌ただしく行き交っていく。その中に総悟の部下山崎の姿が見られた。
「おはようございます!沖田さん」
「あ、ん…山崎か‥…。はよー」
いつもの様に気怠そうにあいさつする総悟だったが、山崎の職務が監察なだけあり総悟がいつもの様子と違うことを見抜いていた。
しかし、山崎はいつもの様に総悟に接する。それが彼なりの心遣いなのだ。
それが総悟にはとても有り難く感じた。
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