出張

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屯所に帰り夕飯時になっても沈んだ心が戻らず、近藤たちが話し掛けても右から左へ聞き流す如く上の空ボーッとしている。 「ごちそうさま…」 総悟は手を合わせ一言呟き部屋を後にするものの食事が半分以上残っており、近藤たちをより心配にさせた。 「はぁ‥」 ただっ広い屯所の廊下を総悟の溜息が響き渡る。 頭を過り、頭から離れない愛しいあの人を考え…‥。 寂しい…。そんな気持ちを総悟は認めたくなかった。否、認められなかった。認めてしまえば、寂しいという気持ちに押し潰されてしまうから。 「あと二日か…‥」 そう、土方が帰ってくるまであと二日。普段なら二日くらい早く感じる。しかし、総悟にとって今日一日がすごく長く感じた。 そんな総悟にあと二日という状況はすごく長く感じたのだ。 部屋に戻ってもやることが無い。ふと、目に入った敷きっぱなしだった布団に寝転んだ。このまま寝てしまおうと思ったから。 しかし、いつもはすぐに眠れる総悟も今日はなかなか寝付けない。 それは寂しさからかそれとも昼間昼寝したせいかそれを知っているのは総悟のみ。 それから数時間すぎても眠れることが出来ず総悟は自分の弱さに苦笑いを零した。 「はぁ…‥俺いつからこんなに弱くなったんだろう…‥。土方さんが居ないくらいでこんなにッ…‥」 総悟の瞳からジワッと涙が溢れ出た。一粒零れると止めどなく流れ続ける。 「何泣いてんだよ総悟。寂しいからって泣くんじゃねぇよ」 「……‥」 土方の声がした。しかし、また空耳だろうと黙り込んだまま泣き続ける。
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