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闇の中へと思考を投じれば、今まで見向きもしてこなかった事柄に想いが至るものだ。一年の時に学校で習った事とかな。
例えば、こんなことを習った。誰かの家を見つけるためには、それと分かる目印が必要だ。表札とか、屋根の色とか、門構えとか……。それがなければ、そこに住むものが果たして何ものなのかが分からないし、そもそもそんな未知のものを呼び出そうなどとは思わないだろう。
扉を開くためには、その先にあるものを予め推測するための印を確認することが必要なのだ。
これはこの世界と異世界とを繋ぐ扉にも同様で、彼の世界の力を引き出すためには、正しい印を紡がなければならない。人々はそれを、家屋の門に刻まれる家紋になぞらえて、クレストと呼んだ。
『それにしてもサイズの割りに単純なクレストじゃない?』
『まあ、シュウの作ったやつなんだから問題無いだろ。な?』
『……』
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