プロローグ

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   故人の享年を調べ続けた誰かさん曰く、俺たちの寿命は、だいたい70歳ほどらしい。昔は50歳ほどと言われていたので、そこからすると、人類は天寿を全うするまでにプラス20年の歳月を賜ったことになる。  生涯70年──それってのは、12刻みの時計の短針で言うところの51100回転。長針にすれば613200回転。秒針にすれば……、ええと……。  ──36792000回転か?  つまり、俺たちの一生は平均で25550日前後で、それは約61万3200時間で、だいたい3679万2000分で、たぶん22億と752万秒ほどというわけである。  ……であるのだが、はたしてこれが長いのか短いのか、生誕16年そこそこの俺には全く分からない。当たり前だろ? 22億だぜ?  ただ、ありがたいことに、そんな実感を持てない未熟な俺たちのために、偉大なる先人達は便利な例え話を遺してくれている。  ──実年齢を3で割れ、んでもって針を合わせろ、ってな。  この人生時計──試しにやってみると成る程どうして、そこそこ納得の結果が出るもんだから面白い。俺は現在この世に生を受けて16年。これを3で割れば5.33となる。この結果を時計の針に当てはめるならば短針は5時、長針は60分の三割三部であるから19.8分の位置だ。  ──5時19分48秒。  それが俺の人生の進み具合ということになる。これくらいの時間と言えば早朝。あたりが若干白みだす頃だろう。しかして、自分自身はまだまだ夢のなかで、起きていたとしてもまだねむた眼。冴えない目をこすっている頃に相当する。  人生時計によれば、俺の人生とは現在その辺であるという。  
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