プロローグ

3/9
前へ
/29ページ
次へ
   ──5時19分48秒。  夜のヴェールは徐々に溶け始め、世界の様相がだんだんと明らかになる。でも自分はまだ家の中で、何をするにも自由な時間。1日がまだ定まらず、自分自身の意思が最大の影響力を及ぼしている。  眠り続けるもよし、飛び起きて散歩に繰り出してもよし、じっくりと今日の予定をたてたり、早めに弁当を作り始めてもいいだろう。  ……どうやら、今日という日の充実は、この辺りの行動から決まっていきそうな、そんな時間帯──5時19分48秒。人生という名の1日、俺の生涯はその夜明けに差し掛かっている。  自由で重要で、まだ少し眠たいこの時間。ここをいかに楽しく過ごすかが、これから先の人生を輝かせる最大の要素であると俺は思う。  だから全力で、俺は活を求めることにしている。人生時計の数分間で、惰眠も散歩も計画も弁当も、良しと思えることは全部やることにしているのだ。それが今の俺のポリシーなのである。  
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加