プロローグ

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 例えるならばドミノ。距離が増えるほど、仕掛けが増えるほど、作り上げるのは難しい。しかし、それが完成し、完璧に作動しきったときの達成感は、何ものにも替え難いまさに至宝。  今回俺が要求されたクレストは、確実にその至宝を生み出すであろう原石だった。これに手を出さない俺はいない。俺は即座に課題を了承し、試行錯誤の毎日に身を投じたしだいである。  で、今日に至るわけだ。ここまで、知り合いの詠唱師に懇切丁寧に詠唱方法を説明し、幾度となく人形で実験を繰り返した。おかげさまでクレストの調整は完了済み。後はリオとグランがこのクレストで何をやらかすのかに注目──といったところだ。  タッタッ──と己の足音が響く放課後の廊下。照りつける西日をくぐりながら、俺は基幹棟にある一室──俺たちの城に向かって足を速めた。  
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