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ただ強い魔物がいるかどうか。魔法による攻撃でしか倒すことのできない魔物を倒すため、少女は森に派遣された。
少女は躊躇(タメラ)いも無く扉を開く。事前に借りた錠前の鍵が、ガチンッという音を立てて回った。
その瞳は獣のように勇ましい輝きを森に向け、朱色の腰まで伸びた髪は途中で結ばれている。
顔立ちは中性的だが、その物腰や仕草の与える印象は少女が間違えなく女であることを示していた。
「エリィ、エリィ! 置いてかないでよ。歩くの早いってば」
扉を開けて柵の中に入った少女が足を止める。
「フェイクの家系では素早く歩く訓練までやってるの?」
フェイク、それは少女が雷の第一人者である貴族の家系であり、その血を受け継ぐ魔法使いであることを決定付ける。
少女の本名はエリーナ・フェイク。そんなエリーナを呼び止めた少女は肩で息をしていた。
「そんな訓練積んでないわ、ウィンリィ……あなたこそシグナルの名を冠しているんだから弱音なんて吐いてないでシャキッとしなさい」
年齢は十代前半。エリーナと行動を共にしている同級生で、本名はウィンリィ・シグナル。髪は青く澄んでおり、顔立ちはまだ幼さが残っている。
背丈はエリーナより頭一つ低く、ウィンリィは自由奔放な性格が魅力な少女である。言葉を変えれば、天然で危なっかしい少女である。
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