丑三つ時

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眠らない町、かぶき町。そこは安全が一切保証されない無法地帯だった。売春、殺人、人身売買、麻薬―――全てが許されてしまう場所。それがこの町だった。犯罪者達の聖域とも謳われていた、今日までは。 真っ暗な夜道を、スーツ姿の男達が革靴を鳴らして歩く。それは異様な光景だった。男達の前を歩くのは、三編みをした優男。顔立ちは整っており、美形の類に入るだろう。その手には、雨も降っていないのに傘が握られている。彼は男達を引き連れてある宿に入り、止める主人に何かの証明書を投げ付けた。 「政府お抱えの鎮圧部隊第七班、班長神威です。ここに丸魃組はいますよね?」 男はにこりと笑って。 「彼等を粛清に来ました。」 そう言った。
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