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「理香……もうちょい優しい言い方があるんやないか?」
崇之がそう言うと、理香はチラリと梨沙を見た。
梨沙は理香と目が合うと、押し込めていた感情が一気に溢れだした。
「私はあなたみたいに強くない! こんな所、一秒でも早く出たいのよ! 免罪符の時間が残ってるうちに私は帰る!」
まくし立てる様にそう言うと、梨沙は扉を開け放った。
「あかん! 梨沙ちゃん、戻れ!」
崇之が慌てて梨沙を静止したが、梨沙に崇之の言葉は届くことはなく、外へと駆け出してしまった。
「ほら、大丈……」
梨沙が無事をアピールしようと振り返った時、身体は炎に包まれた。
「いやああああああああああああああ!! 熱い! 助けて!」
梨沙は燃えたまま、館内に転がり込み、バタバタと床を転げ回った。
崇之と真由香は上着を被せ、火を消そうと奮闘したが、炎の勢いは強く、消火に数分を費やした。
「あ……うぐ……」
なんとか炎を消し止めたものの、梨沙は身体の至るところが焦げ、髪は焼け落ち、顔面に至っては皮膚がただれて先程までの愛らしい容姿は見る影も無かった。
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