第三章 リミットの果て ~未練の鎖~

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一階に到着し、エレベーターを出ると梨沙が正面入口の辺りでごそごそと何かをやっているのが目についた。 「ん? あれ、梨沙ちゃんやない?」 「あ、本当だ……何してるんだろ?」 崇之と真由香が話していると、理香が梨沙の元に歩いて行った。 「……何してるの?」 「ちょっとね……」 「ちょっと……何?」 理香が突っ込んで問いかけると梨沙は困った顔をしていた。 「外に出るつもり?」 「だって……今がチャンスじゃない」 「チャンス?」 「だって、今は免罪符で死の選択は行われてないのよ」 梨沙は今なら出られるんではないかと主張し、外へと出ようと扉に手をかけた。 「行くのは勝手だけど、あなた死ぬわよ」 梨沙は理香の言葉で動きが止まった。 「免罪符の有効範囲は館内のみ……一歩でも外に足を踏み出したら、あなたは生きたまま焼かれて死ぬ」 理香はそう言い残し、スタッフエリアの扉へ歩いて行った。
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