643人が本棚に入れています
本棚に追加
「……死んだわ」
理香がそう言うと、真由香と崇之は梨沙に上着を掛け、ただれた顔を隠した。
「二人とも、時間がないわ」
「せやな、先を急がな」
「……そうですね、行きましょう」
三人は梨沙をその場に残し、スタッフエリアへと入って行った。
「どうする? 地下か一階か」
崇之が二人に聞くと、理香は奥の扉を見つめていた。
「理香、一階に何かあるんか?」
「わからない……けど、何だろう? この感覚」
理香は険しい表情を浮かべ、奥の扉を見つめていた。
「俺は何も感じやんけど、それも巫女の力なんか?」
「……巫女と言われても、自覚も記憶もないからわからない」
「そっか……とりあえず、何か感じるんなら奥に行ってみるか?」
崇之の提案に二人は頷き、奥へと進んでいった。
扉を開けると、そこは厨房だった。
「厨房か、三時を過ぎたら絶対通りたくないな」
崇之が苦笑いを浮かべ、厨房を進み始めた。
理香と真由香も崇之の後に続いた。
「ガスに刃物……状況が変わると厨房ってこんなに恐怖感あるんだ……」
真由香は崇之の服の裾を掴んでキョロキョロと見回していた。
最初のコメントを投稿しよう!