第三章 リミットの果て ~未練の鎖~

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理香は殿を行く形になり、最後尾を歩いていた。 すると、厨房を通り抜ける直前に何かが頭の中に流れ込んできた。 「……くっ!」 突然の出来事に頭を抑え、理香はその場に屈み込んだ。 「大丈夫か?」 崇之が異変に気付き、理香の横に屈み、心配そうに顔を覗きこむ。 「えぇ……大丈夫」 ――何だったんだろう……今のは さっきの目眩が嘘の様に引いていき、立ち上がると目の前には冷蔵庫とクリーンルームへの入口があり、崇之と真由香がどちらに行くべきかを話し合っている。 「理香はどっちやと思う?」 崇之に選択を振られ、理香は二つの扉を見詰めた。 「……冷蔵庫」 「冷蔵庫か……真由香ちゃんもそれでえぇかな?」 「はい、大丈夫です」 冷蔵庫に入ると、正面にも扉があり、左右の壁には野菜が段ボールでうず高く積み上げられていた。 「不思議ですね」 真由香は冷蔵庫内を見回して、呟いた。 崇之と理香は、真由香につられ、見回してみたが特に変わった様子はない。
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