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理香は振り返り、二人をじっと見詰めた。
「……崇之」
「すっ、すまん! 冗談や理香!」
「……それに関してはどうでもいい……それより、あれを見て」
理香はうず高く積み上げられた段ボールがある壁の方向を指差した。
「ん? 野菜がどうかしたんか?」
「違う、その奥」
理香がそう言うと、真由香が段ボールの隙間を覗き込む。
「あ! 扉が在ります!」
「この奥、血の臭いがする」
理香の言葉に顔を見合わせた崇之と真由香は頷き、段ボールをどかし始めた。
段ボールがなくなり、銀色の鉄の扉が現れ、近づくと確かに血の臭いが鼻をつく。
「こんなところに扉が隠れとるとはな」
「えぇ、怪しさ満点ですね」
「ほな、入るで……」
崇之が扉を開けると、温度差から白い煙が吹き出した。
崇之と真由香が中に入った後、理香は胸を触りため息をついた。
「……可愛い……胸」
「おい、理香! 何しとんのや!? はよ入ってこいよ」
「わ、わかってる! 今行く」
崇之の声に本来の目的を再認識し、理香は慌てて冷凍庫へと入って行った。
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