第三章 リミットの果て ~未練の鎖~

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理香が中に入ると、崇之と真由香が立ち尽くしていた。 両脇に山積みにされた死体の山に、理香も愕然と見上げるしかなかった。 「こんなに死んどったんか……」 理香が時間を確認すると、既に二時を回っており、残り時間は一時間を切っていた。 「あと一時間弱……これだけの未練の鎖を断つなんて……無理」 その時、理香は背後に気配を感じて振り返った。 「……渚」 背後に居たのは渚だった。 「見つけてくれてありがとう」 「けど……未練の鎖は?」 「大丈夫……皆を無に還してあげて。 それで鎖は断ち切れるわ」 「無に……還す?」 崇之と真由香も渚の存在に気付き、そばに寄ってきた。 「渚は皆を無に還して欲しいって」 理香が二人に告げるが、やはり漠然としすぎていて、これといった具体策は浮かんでこなかった。 「渚、無に還すって具体的にどうしたらええんや?」 「残された時間が少なすぎる……方法はわからない」 渚の返答に言葉を失う三人だったが、更に冷凍庫入ってきた人物がとんでもない案を提示してきた。 「燃やしたらええんと違うか?」 「あ……兄貴」 皆の視線が将幸に集中した。 「安心しぃ、かろうじてやが正気は保っとる」 「でも、燃やして建物に広がったらどうするつもりなんや?」 崇之が将幸の案に、危険過ぎると反論した。 「やらなきゃ、確実に全滅やぞ。 やれば生き残る確率は上がるやろ」
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