第三章 リミットの果て ~呪詛~

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その頃、210号室では木下がベッドに座りながら、時計を見つめていた。 時刻は二時五十分を回り、三時へのカウントダウンが始まっていた。 「残り時間もあと僅かだな」 落ち着かないのか、立ち上がっては座り、座っては立ち上がりを繰り返していると、外から扉が閉まる音が聞こえてきた。 「扉の音?」 ――あれ? こちら側の客室棟は俺と豊田奈緒美だけの筈…… 「まさか、目覚めたのか!?」 様子を見に行くべきか? ここで大人しく待機しているべきか? 「えぇい!! くそっ!! 外にいる間は監視、保護するのが俺の仕事だろが!! しっかりしろ、刑事木下紀人」 木下は自らを鼓舞する自問自答を呟き、自室の扉を開けて通路に一歩踏み出した。 静まり返った通路は、自らの鼓動と呼吸さえも耳障りに感じさせる。 緊張からか、いやに渇く唇。 木下は210号室から212号室前までの数メートルがとてつもなく長く感じられた。 部屋の前まで行き、カードキーを差し込むと、ノブを静かに回した。
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